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まんたろうのラジオ体操のshironのレビュー・感想・評価

まんたろうのラジオ体操(2022年製作の映画)
5.0
画面の説得力がすごい!
心と体は繋がっている。どちらか片方が弱るともう片方も弱ってしまいがち。
逆に、片方を少し上げてあげることで、上手く回り出すこともある。
ラジオ体操なんて随分していないけど、呼吸や指先まで意識して全力で体操すると、心も体もスッキリすることを知っている。そんな自分を思い出しました。

電気屋さんの「仕事に対して無責任な大人代表」の演技が絶妙だなぁ。と感じてたら、役者じゃなくてプロデューサーだそうです!すごっ。
ラジオ体操に第三があるの知らんかった。
自分なりに自分を肯定してあげられる、清々しいラストに感動しました。

そして、レンコンの使い方が素晴らしい。
ひと手間かける心の余裕。
心と体のリハビリの経過を見事に表していました。
ちょっとここからはシーンバレですので、気になる方は読み飛ばしてください。

心が弱った時って空腹すら感じなくなってしまいますが、体の感覚が戻りはじめると空腹を満たす為に食べる。
そこにあるのは動物的な欲求で、ただただ空腹を満たせれば良い。
切ったり火を通したり味をつけたり…徐々にヒューマニズムを取り戻していく過程が見事。
数日かかる料理を作る…明日があることを信じられるようになったのだ。誰かと一緒に。
長塚京三さんと渡辺真起子さんもさすがで、泣けました。

監督はレンコンを選んだことに「穴がある。空白がアイデンティティ」とおっしゃってましたが、泥の中で真っ白に育つのも特徴。
私のなかの「よくこんなの食べようと思ったなランキング」上位の根菜です。
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