TakuyaKoroku

私のはなし 部落のはなしのTakuyaKorokuのレビュー・感想・評価

私のはなし 部落のはなし(2022年製作の映画)
4.0
大島新監督が好きなので、映画「私のはなし 部落のはなし」は絶対に観なければいけないという、ある種の使命感に駆られて田端のちいさな劇場まで足を運んだ。

僕の実家の周辺にも部落(とは当然明示されていないが)は結構あって、でもなぜ僕がその周辺が部落であることを認識し始めたのかはひどく曖昧で。でも関西出身の子どもは学校教育として必ず同和問題を道徳の授業で習うため、身近で、たしかに「在る」ものとしてずっと僕の中に残っていたことは事実だった。だからこそ、「観なければいけない映画」だったのだと思う。

生まれ育った老人に若者・部落に移り住んだ人・外へ嫁いだ人・何も知らずに嫁ぎに来た人・息子が自死した人・解放同盟の人・差別意識のある人……、挙げればきりがないくらいのあらゆる立場の人が登場し、様々な視点から「部落」について語られているのが大変興味深かった。

「『部落』の呼称がいくつも変化してきたのは、この言葉自体がフィクションだからではないか」と、静岡大学の黒川教授が言っていたのがすごく心に残っている。知れば知るほど本当に難しい問題だ。
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