音響を手がけたのが「哀れなるものたち」「NOPE」のサウンドデザイナー、ジョニー・バーンというのを知って深く納得した。音の演出が視覚的な穏やかさをゼロにするほど不気味。映画館で観た方がいい、というのはその通りだなと思った。
ここに映されているのは僕たちである、と錯覚する人もいるのは理解できるけど、さすがにそうは思わない。画面越しに見るその映像と、視覚で直接目の当たりにしなけれど壁一枚隔てた向こう側に"在る"光景。この二つを同じ感度で捉えられるほど繊細ではなく、自分のことを残酷な人間のように感じてしまうほど傍観してしまった。
それでも思うのは、多くいる登場人物の中でなぜルドルフ・ヘスの妻ヘートヴィヒだけがあの場所に適応したのか。それだけが解せない。
評価は置いておいても、映画館で是非観てほしい作品だった。