福福吉吉

オンマ/呪縛の福福吉吉のレビュー・感想・評価

オンマ/呪縛(2022年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
スヒョンは幼い頃、母から虐待を受けたことから、母から離れてアマンダと名前を変えてアメリカの農場で娘のクリスとともに暮らしていた。ある日、アマンダのもとに彼女の叔父が現れ、母の死を告げるともに母の遺骨を置いて去ってしまう。アマンダはその日から亡き母の幻影に恐怖するようになり、それは娘のクリスとの関係にも暗い影を落としていく。

◆感想◆
亡き母の呪縛に囚われた女性とその娘が不可解な出来事に遭遇するストーリーとなっており、亡き母を恐れながら自らも亡き母と同じようになってしまう恐怖に苛まれる女性の心情が心に伝わってくる作品になっていました。

主人公のアマンダ(サンドラ・オー)は娘のクリス(ファイヴェル・スチュワート)とともにアメリカの農場で幸せに暮らしていましたが、伯父から亡き母の遺骨を渡されたことをきっかけに亡き母に束縛されていきます。それは精神的なものか実体のあるものか定かでないですが、アマンダにとっては過去の恐怖を想起させるものになっていて、彼女の不安感が伝わってきました。しかし、アマンダにもクリスを離したくないという思いがあって、その点では亡き母と同じ部分があったように思います。

娘のクリスは幼い頃は学校に通うことに恐れ、アマンダとともにずっと自宅の農場で過ごしていましたが、大学への進学を考えるようになり、それがアマンダとの亀裂を生むことになります。クリスの外の世界を見たいという思いは普通なのですが、アマンダにはそれまでの幸せな暮らしが一変することがあってなかなか受け入れがたいものがあったのだと思います。

ストーリーはアマンダの亡き母がどんどんアマンダを侵食していく展開になっていき、クリスを亡き母に乗っ取られたアマンダが襲うようになります。ホラー演出としてはかなり弱いですが、アマンダが亡き母と同じようになってしまうのかという本作の肝の部分がしっかりと描かれていて、心を揺れ動かすものがあり面白かったです。

ホラーとして観ると物足りないですが、亡き母に束縛されてきたアマンダが娘からどのようにして子離れしていくかというドラマの部分がしっかりしていて面白かったです。かなり評価が低い作品なのですが、私はとても好きです。

鑑賞日:2024年11月20日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2024年3月6日)
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