◆あらすじ◆
福島県浪江町で暮らす富田家には「ごん太」という犬が飼われていた。しかし、2011年3月11日、地震により富田家は避難せざるを得なくなり、ごん太は置き去りにされてしまう。その後、地震で放置されたペットを救出するボランティアの吉野ユキにごん太は保護され、「ピース」という名付けられる。ごん太に悪性リンパ腫が発見され、余命僅かと判断されたことから、ユキは元の飼い主を捜索するのだが...。
◆感想◆
2011年3月11日の東日本大震災で飼い主と別れてしまった犬を主人公が保護して元の飼い主を捜すストーリーとなっており、震災時の福島県の状況を丁寧に描いていて犬の話だけで終わらず、福島県の人々がどのように暮らしていたかが分かるようになっていて良かったです。
ごん太は富田食堂を営む富田家の愛犬であり、震災が起こるまで幸せに暮らしていましたが、震災をきっかけに犬を連れていく状態でなかったため、富田家の人々とごん太は離れ離れになります。ごん太が富田家の人々に愛されていることが伝わってきただけに、別離のときの悲しさも強く感じました。
吉野ユキは大学の休みを利用してペットレスキューのボランティアに参加するのですが、ごん太と出会ったことで、レスキューの仕事から退けない状態になり、ごん太改めピースの世話を付きっきりでやるようになります。彼女の過去から犬に対して特別愛着を持っていて、それ故に恩返しの意味を会ったように感じました。
ピースに悪性リンパ腫が見つかり、余命僅かとなったことで、ユキは元の飼い主である富田家を捜すことになります。ピースが元の飼い主に愛されていたことをユキは感じ取っていて、彼女だからこそこのような行動をとれたのだと思います。
ストーリーが進むにつれて、ユキがどんどんペットレスキューの仕事に尽くすようになり、大学を休学してまで仕事に邁進します。「ペットのために休学するなんて」と軽蔑する人もいるかもしれないけれども、彼女の進んだ道筋は命に対する責任の重みを現していて、決してその選択は間違いではないと思います。
ラストは心にジーンと響くものがあって良かったです。
私は東日本大震災の被災者ではありませんが、当時の福島県の状況を理解するとともに大震災の記憶を強く残すものになっていて、観て良かったと思います。
鑑賞日:2025年2月2日
鑑賞方法:BS日テレ
(録画日:2024年3月10日)