書庫番

さかなのこの書庫番のレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
4.7
2022年9月2日 TOHOシネマズ府中にて鑑賞。

沖田修一監督最新作はさかなクンの自叙伝の映像化。

大好きな対象に注ぎ続ける情熱を仕事にまで昇華させる事の素晴らしさと大変さを誠実に描く一方で、監督ならではの温かい視線とオフビートな笑いで包み込むフィクションの塩梅が本当に抜群。


本作は沖田監督と盟友・前田司郎の共同脚本。
名作『横道世之介』以来のタッグである。
事実、本作に流れる雰囲気や画づくりは『横道世之介』を彷彿させるものがあるし、それが自分には心地良かった。


主役にのんを迎えた事に対して改めて拍手を送りたい。

作品冒頭にも映し出される
"男か女かはどっちでもいい"
のフレーズは鑑賞後に深く刺さっている。

さかなクンの分身を自然体で演じ上げつつ、時折憂いのある美しい表情を魅せる、彼女の存在感たるや流石である。


のんは勿論、その他のキャストも素晴らしいし、彼らが演じた登場人物全てが愛おしい。

中でもミー坊に調子を狂わされる、総長・磯村優斗と剃刀籾・岡山天音が其々率いる不良グループ達が最高に愛らしくて笑えます。

成長した彼らとミー坊の繋がりもグッとくるポイント。


観たかったものがたっぷり詰まった、沖田監督ファンには堪らない贈り物だよ。
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