さかなのこのほのネタバレレビュー・内容・結末

この映画を見た時（全然関係ないけど）漫画カイジで、勝って勝たなければ•••！イチローも勝ったから賞賛される、勝たなければマイペースな変人•••みたいなことを言ってたのを思い出した。
そんな苛烈な話ではまったく無いけど、本質的には似ていると言うか。

さかなクンの人生を元にしたシナリオは演出というスパイスが入ったりしても半分くらい？はノンフィクションなのかな。
主人公が終始「ミィ坊」と呼ばれ本名が提示されないとことか周囲の人物が理解があり優しくて全体的に寓話のようなおだやかな世界である反面、中学に上がったらいつのまにか消えている父親と弟とか女性タレントからの小馬鹿にされている爆笑とか、つめたさがさらっと描かれているのがこわい。

極めつきは、公開当時も話題になっていた「社会的な成功を得ていない魚好きの変人」を"さかなクン"本人が演じている。
いわばマルチバースの"さかなクン"であり、ミィ坊の幼少時以降は終盤に話題に出る以外は一切語られない。ここ怖い。

好きなものを追い続けていたら周囲の理解を得て成功する、というのは生存バイアスによる印象で、「好きで好きで仕方のないものがあり好きなものなら何でも出来る」は逆に言えば「好きなものしか"出来ない"」という特性のひとが多い傾向があり、作中のミィ坊はそこに当てはまりそうだからこそ、華やかな「好き」に潜むダークさもさらっと描いててこわいなー。

それを差し引いても良い映画だった。
男か女かはどっちでもいい、で始まるシークエンスはドキッとしたし。（実在のさかなクンとミー坊演じるのんさんの性別で「？」になった観客にまなこを向けるような演出）
実際見ててどっちでもよいなーと思った。のんさんは中性的で、なによりも目がキラキラしていて本当に才能のある演者さんですごいなー。