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ぼくらのよあけのbのレビュー・感想・評価

ぼくらのよあけ(2022年製作の映画)
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昭和という名のノアの箱舟 ー 
簡潔にいえば「団地」とか「宇宙」とか「ロケット」とか昭和の延長線上の話になってて、でもそこが今の時代とはいろいろギャップを生んでしまっていることで今の人にはピンとこず、こうした微妙な評価に留まってるんだと思う。
団地という高度経済成長期を象徴するものから多死社会や少子化、格差を象徴するものに変わってるなか人類が月に行ったように宇宙に希望を見出そうとする話だけどその「団地」が象徴するものと「宇宙」がさほどリンクしてこない
かつての昭和の事柄や産物で構築されたこのストーリー自体が平成でせっかく築かれたミームを洪水でおし流して令和にまで生き残ろうとする、まるでノアの箱舟そのものに見えるのは団地のとある一棟を宇宙船のように表現してるところだったり、「漂流団地」という最近のアニメ映画にもそのへんことを同じものとして見出せる。格差といった今の問題を意識するなら何も団地にこだわる必要はないしボロい長屋でもいいんだから
未来を感じさせるガジェットは申し訳程度に出るぐらいで未来予想をがっつりしてるわけでもない。お助けAIナナコの存在も宇宙存在との媒介のための役割程度といえばやはりそうなのかもしれない。
これだと映画観てた途中CMで流れた人間洗濯機とかのほうがよほど狂ってるし未来っぽい

あの宇宙からやってきたAIは難民のメタファーといえばロマンもへったくれもないんだけど実際、今の時代宇宙にロマンは感じてる人はそう多くはないし宇宙に目を輝かしてるといえばスターリンク衛星で好みの女を漁ってばかりいるイーロンマスクぐらい。
初盤にある主人公の友達の「この団地もなくなるのかあ..」という昭和ノスタルジーすぎる発言も平成の人間からすると共感は難しくストーリーテリングとして正直なところ微妙になものになってる。「壊れるままに任せればいいじゃん」ぐらいに思うけど、2049年設定でそのセリフはやばい。
ラストの主人公の家族は最後どこに引っ越したのかははっきりせず、人はどこからきてどこへ行くのかというアラビアのロレンス的な終わり方をするも、住居人不足で立ち退きするしかない両親共働き息子一人団地住まいだった家族がどこに向かうのかを考えるといったい何が「よあけ」なのかわからなくなってくるが希望がないわけでもないような終わり方は一応
いじめっ子の姉とその弟やヒロインの関係は適当なのかリアルと感じるかは人による。見てたら姉が何で荒れてるのかわかるし、和解を目指してほしかったけど思春期だから仕方ない。ナナコは可愛くデザインされてるし、団地の中のリノベーション具合は妙にリアル。
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