シネスコを活用した構図の美、ミニマムな舞台演出で大映スターが踊る、人間ドラマの復讐譚。
ぜひスクリーンで観たかった。
三上於菟吉の原作を、市川崑が美味しくアレンジした本作。
見立てのような演出がシュールで無機質な印象を感じる。
横長の画面いっぱいに伸びる屋敷の塀。暗がりの中にピンと張る一本縄。不自然極まりない照明に、ギラリと光る剣筋。
その中で、女形の雪之丞（長谷川一夫）と、その敵の娘・浪路（若尾文子）がイチャイチャしたり、男勝りな女・お初（山本富士子）が雪之丞に恋したりと、ノーマルなんだかアブノーマルなんだかよく分からないアヤシイ世界が展開する。
男・・・だけど見た目は女の雪之丞に、二人の女が恋をする。レズビアンのようでもあり・・・でもきっとチンコあるからどうするんだろう・・・エ、エロい・・・（妄想）
また、長谷川一夫が、雪之丞と闇太郎（義賊）、二役演じているのが可笑しい。お初が二人に惚れるのもわかります。笑
昼太郎（市川雷蔵）のアホさが対照的で可愛い。
「もはや、こんなよそよそしげな仲などではいられない。わたしはそなたとメオトになりたい♡」
「冥加とも、かたじけないと、この雪之丞とて尽未来、あなた様の他には世上の女将に、心を動かすようなことはいたしません♡」
セリフがとても味わい深く、スルメのように何度も噛みしめたくなる作品でした。
