れいん

線は、僕を描くのれいんのレビュー・感想・評価

線は、僕を描く(2022年製作の映画)
3.5
何かの映画の予告で流れていて、予告だけで泣けるなぁと思った映画。
横浜流星さんと清原果耶さん、観るしかないと思いました。好きと好きの共演、最高ですね。
横浜流星さんは耐えて堪えて傷つく姿がとても憂いを帯びていてとも素晴らしい俳優さんだなぁと再確認。空手のチャンピオンになったくらいだから、アクションもバリバリだし強さ全開の役どころでも良いはずなのに後ろ向きで優しくて悲しさをまとう姿がとても良い、そんな不思議な俳優さんだと思います。この作品でもかなり憂い気でした。
清原さんは芯のしっかりしたやんちゃで強いオーラの和な美人、だけど少し幼さなが残る見事なはまり役でした。
水墨画なんて全然分からないし、その世界のことも何にも知らないけれど色がないからこそ、線でいかようにも変幻自在にできる自由度が高いものだということが分かりました。色がないのに描かれた絵は新鮮でお見事!としか言いようがなかったです。弱さも強さも濃淡で描けるんだと画面で分かりました。横浜さんも清原さんも忙しいスケジュールの中で練習したんだろうなぁと思うと、その途方もない凄さになかなかくるものがある。霜介の部屋の描いたのは全部、自分が練習で描いたものだって横浜さんが仰っていましたし、清原さんが自分は達人のように慣れて(曖昧な記憶)いるようにしなければならないのでそれが大変だったとテレビで言っていました。
全編通して思い出してみても、優しいのにしなやかさと力強さとそして静けさの感じられる映画でした。静かすぎて他のスクリーンの映画の爆音轟音(多分、すずめの戸締まり)が聞こえるくらい。こちら側の息をのむ音すらも響きそうなほど。でもなんかそれが日本映画って感じがして私は好きですが!
霜介の回想シーンは泣けてしまってわけわかんなかったです。yamaさんの歌の歌詞が胸に突き刺さって涙が止まらなかったです。霜介の身に纏う悲しみがここから来たものかと思うと、それでもこんなに優しい人になってくれてありがとうとしか思えなかった。自暴自棄になってもおかしくないはずなのに。ちゃんと人の気持ちを汲み取れる思いやりのある人でいてくれて良かったです。地元に行くって言った時に、千瑛が一緒に行くってなったのは内心、え?なんで?ってなりましたが。その前後なぜそうなったのかな~って読み取れなかったです。
三浦智和さん、クロサギやその他ですっっっごく苦手だなと思ってたけどこの作品でさすがの演技力に苦手な気持ちを背負い投げされました笑 あれはもう文句のひとつもなにもないです。すべての立ち振舞いがもう完璧でした。水墨画を描く手すらも。江口さんも一度のその描くシーン以前はこの人なんで湖山先生のところにいるんだろう?思ったのですが、とんでもなく素晴らしい描写シーンでさすがだわ!と心を撃ち抜かれました。富田さん、最初誰だか分からなくて凄まじい貫禄の俳優だなと思ってみてて富田さんと気づいて声が出そうになりました。日本の俳優も捨てたもんじゃないな~って気づけた映画ですね。
霜介の友達もみんな良い奴で憎めなくて、とっても良かった。
古い日本家屋や庭園、着物、古めかしいんだけれど古臭くなくて、映画の色味さえ渋いのにとっても現代な感じもして私的には楽しめた映画でした。
エンドロールがこんなにも楽しく見られた映画も久しぶり、っていうか初めてかもしれません。線がどんどん絵を描くのがとても素晴らしくてワクワクしました!

線は自分の心次第でいかようにも変えられるし、線は嘘をつかない。真っ直ぐに自分に返ってくるものなんだなと思いました。
原作本を映画を見た後に買いました。映像とは違い、文章ではどのように水墨画を表現するのかとても興味があります。だってそれってきっと難しい!!
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