究極の二択映画。
映画において、人間を描く方法は行動だと思う。
台詞も人を表しているが、人間は嘘をつくので当てにならない。
酷い発言しても人を助けたり。
綺麗ごと言いながら人でなしだったり。
言葉よりも極限状態でどう行動するかで、人間の真価は決まる。
凝縮された時間で、人間性を示すことができる。
イ・ビョンホン演じる男が、飛行機の離着陸の判断ミスでパイロットを辞めたと語られる。
だったら、今回は離着陸での正しい判断を求められる状況に追い詰められるのだろうなと予測が立つ。
ドラマというのは、登場人物の生き様が正しいのかと問い詰める瞬間があるものだ。
究極の選択に追い詰められた時、人物の真価とテーマが鮮明になる。
「カレー味のうんこ」か「うんこ味のカレー」かという奴である。
(またスカトロ~・・・)
本作では、その決断に観客の心を振り回し揺さぶる。
極限の判断と人間性に、人々の醜さと美しさをあぶり出す。
この揺さぶりが乱気流のように激しい。
二転三転する。
ジェットコースターなら酔うよ。
決断の一点に集中させることで、主人公のみならず韓国国民全体の人間性や思いやりや寛容など、あらゆることが突きつけられるのだ。
それを突きつけられた時、例え非論理的でも矛盾でも最も美しい行動に感動するのだろう。
実を言うと、隔離すれば良いのだから本当は迷う必要はないはずだ。
隔離を除外してるのは、観客を二択で揺さぶりたかったからだろう。
ワザとやっている。
カレー以外に食うものがないはずがない。
ワザと「カレー味のうんこ」か「うんこ味のカレー」で揺さぶるのだ。
(喩えですから、本当に映画内にうんこカレーが出る訳ではないのよ)
本作には、一つ欠陥がある。
犯人が早めに消えることだ。
犯人の歪んだ思想がどうして形成されたか。
ウダウダ語るのではなく、究極の選択の状況で主人公と犯人の違いを対比してどちらがより人間らしいかを見せれば、それで犯人の異質性を示せると思う。
そこだけが残念。後は面白い。