TakahisaHarada

非常宣言のTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

非常宣言(2020年製作の映画)
3.9
ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ドヨンと、キャストが豪華な航空パニック映画。イ・ビョンホンの上空パートはパニック映画的な面白さが詰まってたし、ソン・ガンホの地上パートも1人の刑事が家族のために生き直す物語って感じで熱くてどっちも良い。
機内と地上がネットでつながっていて、簡単に情報を得られたり、連絡を取り合えたり、コロナを経て米日韓それぞれの政府の決断とか社会の分断にも頷けたり、撮影はコロナ前からしてたらしいけど今だからこそ作れる映画っていう感じがするのも良かった。

上空パートは急降下シーンの迫力とか、ホノルル行きを諦める旋回シーンの日差しとか、印象に残るシーン多めだった。宇多丸さんが犯人に、体内にウイルス入れるの家でやってこいよって言ってたの本当にその通りすぎて笑った。

序盤のコムタンのくだりでまたこういう父親きた~と思ったソン・ガンホ。今作では事件への対応に尽力しているが責任を負いたくない気持ちもある周囲とは違って、文字通り死ぬ気で乗客たちを救おうとして長官の心も動かす、1人の刑事の生き直し的な要素もあって熱い。

犯人は途中でフェードアウトしてしまうし、ク刑事と長官のその後には苦味があって明るいラストではなかったけど、2人のヒーローが生きて顔を合わせて、ク刑事が何かを伝えようとするシーンも、海辺の長官のシーンも、悲しさや虚しさというよりはまた何か新しいことが始まる希望みたいなものを強く感じた。

冒頭に意味ありげに流れる非常宣言に関する規則みたいなテロップは何だったんだろう…劇中で副操縦士が非常宣言を発動したことで何が変わったのかいまいち分からず…。