柊

ロストケアの柊のレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
4.1
これは観るのが辛い。でも観なければ後悔した一本かもしれない。
とにかく松山ケンイチが凄すぎる。もちろん柄本明、綾戸智恵も…長澤まさみエルピス流れで正義感、倫理観の強い役が続いたけど、この一本の前に「シン,仮面ライダー」観ちゃったからなぁ。笑

どの立場で観ても身につまされる。行政の支援なんてこの国の国民は誰一人信用してないと思うけど、そうとしか思えない今を生きているこの国の国民が哀れに思えてしまう。もちろん私もその一人。何とかもっと弱い方の人間も生きやすくなるようにと言う思いで物事には当たってあるけれど、微々たる力では大勢に影響を及ぼす力が無いのも現実。

観終わって1番に思った事は、歳をとると言う事が怖い。歳をとると言う事がこの国では罪に値するかのような未来しか見えない。
その解決策のようにヒットしたのが「PLAN75」とかまるでブラックユーモアだ。

介護現場に身を置く人から聞く話は、とてもじゃないけど聞きたく無いような話ばかり。
誰だって人に特に身内に迷惑をかけたくないと思う日本人気質は多分変わらない。
生まれてくる時も死ぬ時も一人とはよく言うけれど、赤ちゃんは産まれても一人では生きられない。死を前にした人も自分の死後の始末は人に頼るしか無い。一人で自己完結できる人間なんていないんです。
ならばどうすれば良いか?坂井真紀が言っていたように、人は人の世話になってもいいし、時に迷惑をかけても仕方がないと寛容に思えるような社会になる事を祈るしか無いのだと思うが、それを現実化するのは思うより難しい。

みんな歳をとって死ぬのは同じなんだけど、その死に方は同じでは無いよね。
そしてその死に方を選べないのも現実。答えなんて出ない。

森山直太朗の歌がしみすぎる。
柊