ゆみモン

ロストケアのゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

ロストケア(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

42人の要介護老人を殺害した介護職員・斯波宗典(松山ケンイチ)。

そして、彼を起訴するべく対峙する検事・大友秀美(長澤まさみ)。

斯波は父(柄本明)の介護の沼から這い出せなくなり、父に懇願され病死に見せかけて殺害してしまう。そのことで「自分は救われた」と感じた斯波は、同じような沼でもがき苦しむ人を救うために老人たちを殺害し続けた。
斯波は言う。
「自分は42人を救った」のだと。
そして聖書の一説。「自分がしてほしいと思うことを人にもしてあげなさい」

大友にも高齢の母がいるが、彼女は高待遇の老人施設に入居している。

年老いてからの生活にこれほどの差が生まれるほど、彼ら彼女らの若い頃の生き方に差があったと言うのか。国は政治は、人間の尊厳が守られる最低限度の老後を保障してはくれないのか。

現代社会における様々な問題を突きつけて、答えを示唆すること無く観客に丸投げするようになラストに感じた。

冒頭のシーンで、大友が駆けつけた、死後何ヶ月か経過していたらしい老人の孤独死現場。それが、20年以上も前に母と離婚した父だったということが明かされる最後も衝撃的だった。