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飛鳥を造る
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『飛鳥を造る』に投稿された感想・評価

三重塔の再建に挑む労働者たちの眼差しは現在進行形でのハリボテの様子を捉える訳ではなく、既に完成形を見つめているのだとするならば、映画が建築作業に勤める労働者たちを捉える時、カメラは労働者たちの見つめる未来から常に遅れをとるだろう。そのとき松川が圧倒的なフィクションの視点として、カメラを導入しラストの記念撮影を過去のものとして提示したことの意味の奥深さが競り上がってくる。建設中、労働者たちを捉えたカメラはあくまで過去のものとして提示することに留めつつ、音を獲得した映画のナレーションによって未来からの語りを堂々と響かせてしまう。劇映画ではないかもしれないが、これは明らかなフィクションの映画として認識される懐の広さを兼ね備えた作品ではないか。

映像に映る幸田文を初めて見れたことも一文学青年として大変嬉しい。
冒頭に、戦時中法輪寺三重塔が焼失した理由と現在の男性達の逞しい姿を写すことで、本作もまた松川作品の主題である、過去現在とに繰り返される循環運動が簡潔に述べられる。工程を捉えたモンタージュで割と直接的に、昔から変わらない土台の石を測量したり、ナレーションで「前回に建てられたときと同じ作業で再建している」と言わせたり、時間を超えた共通点を指摘するも、飛鳥時代の建設では現在使われたハイテクな道具はなく、当たり前に映画のためのカメラなんてものは存在しない。伝統という名の繰り返される動きを眼差しながらも、現在のテクノロジーと人々に目を向けてその最適解の最大値を模索しようとする試み。ラストに大工の面々が記念撮影する様子にナレーションで「大工のうちの中心であった1人がその後病気で亡くなった」と告げられるのは、一つのチャプターの終わりでありながら、未来の法輪寺三重塔へのバトンのようにも感じられた。