恥ずかしながら、韓国近現代史をちゃんと把握していなかった一人として、ラストには非常に驚かされた。こんなに暗澹たる気持ちで終わる映画も久々。改めて、韓国は凄まじい時代を乗り越えて来ているのだなと。それを真正面から金をかけて作って、ヒットする韓国映画界の凄さも痛感した。
序盤は登場人物の関係性がよく分からず、誰が味方で誰が敵か混乱したが、コトが動き出してから一気に惹きつけられた。歴史を知らないからこそ、ずっとハラハラして面白がれま面もあったので、とにかく誰しもが観て、負の歴史を知るべき。軍事クーデターは、どこの国でいつ起きてもおかしくはない。
『アシュラ』キム・ソンス監督の6年ぶりの新作で、同じくファン・ジョンミン×チョン・ウソン、脇にも濃い面構えの中年男が大量に居て、座組の時点で凄かった。今の時代に、これだけ女性を脇に追いやった映画は新鮮だし、どうかとも思ったが、だからこそ、描けたものもある。画面に狂人しかいない映画。
アクションシーンに興奮は無いが、そこは意図した鈍重さでもあろう。『タクシー運転手』や『KCIA』など、韓国近現代史を描いた実録系の映画やドラマと並べて見たい。新たな韓国版大河ドラマのようなものになり得るコンテンツとしての現実の強さも感じた。日本も戦後をしっかり描いてほしいところ。