つい先日お誕生日を迎えられた、サー・マイケル・ペイリンこと、モンティパイソンの良心こと、自転車修理マンが原案・脚本・主演を勤めたロマンスドラマ。

時は1860年代。オックスフォード大学の副学長フランシス・アシュビーは休暇先のアルプスで、アメリカから来た婦人の2人連れ、17歳のエレノアとその叔母キャロラインと出会う。
とあるアクシデントからアシュビーとエレノアは距離を深め、互いに好意を持つようになる。しかしアシュビーは、年齢差や、女人禁制(妻帯も禁止)のオックスフォードの校則を前に躊躇し、慌ただしくアルプスを去っていく。
やがて、老学長の危篤を前に次期学長の選挙が迫るなか、アシュビーの前に、エレノアとキャロラインが訪ねてきて…。

所々におとぼけな場面はあるけど、意外なくらい古式ゆかしいラブロマンスで、ちょっとジェーン・オースティンみたいな味わいもあり、マイケル・ペイリンも意外にその世界に馴染んでいる。というのも、このお話自体が彼の曾祖父エドワードの実体験だそうで、サー・ペイリンにとっては渾身のプロジェクトだったに違いない。いつものおとぼけを極力封印して、長年学究生活を送ってきた為に人付き合いが苦手な教授先生がロマンスに直面して思い悩むさまを、神妙に演じている。

その相手役が、そもそも私がこの映画を見たかった理由である、トリニ・アルヴァラード!!!もうとにかく美しいんですよ、彼女が。
『若草物語』のメグ役でもそうだったけど、ヴィクトリア朝の衣装がとてもよく似合う。彼女が夜の街を彷徨する短い場面があるけれど、髪を下ろして黒いローブを羽織った姿が、ロセッティの絵画から抜け出してきたジェーンモリスみたいで、手を合わせて拝みたくなりましたよもう。

叔母キャロラインを演じているコニー・ブースという人は、ペイリンおよびパイソンズとは何度も共働している人のようだ。この方がまた素晴らしい演技。いわゆる行かず後家で、すっかり結婚は諦めていたところに、アシュビーが現れてあわよくば…と望みを抱く感情の揺れ動きを、決して下品にならず切実さをもって体現していて、上手いの一言。

アルプスとオックスフォードの美しい自然を写した撮影も、それこそ絵画のようだし、メランコリックな音楽はトリュフォー映画でお馴染みのジョルジュ・ドリュルーが手掛けていて、クラシカルな世界観がいっそう際立っている。

深夜に見て思わぬ拾い物をしたという感じの愛らしい作品だけど、ぜひ綺麗な画質のブルーレイが欲しいなあ。

★★1/2

マイケルペインが若い娘に惚れらるステキな作品だったがDVDが欲しい。