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ターニング・ポイントのhasisiのレビュー・感想・評価

ターニング・ポイント(2021年製作の映画)
3.5
「お前は誘拐犯に恋しただけさ」

イタリア。ローマ・ガルバテッラ地区。
アパートで一人暮らしのルドヴィコは、すねかじりの大学生で漫画家志望。
ある夜、ゴミを捨てるために通りに出ると、銃を持った男に脅され、部屋まで案内するよう命じられた。
男の名はジャック。マフィアから現金を強奪して来たらしく、捜索の手が緩むまで、しばらく居座る気らしい。

監督は、リカルド・アントナローニ。
脚本は、ロベルト・チンパネリとガブリエレ・スカーフォンの共著。
2022年にNetflixで公開されたクライム・ドラマです。

【主な登場人物】🏢🧑🏻‍🤝‍🧑🏼
[アマンダ]スペインからの学生交流。
[カイノ]ボス。薄毛オールバック。
[マリオ]くせ毛。
[ジャック]強盗。まつ毛が長い。ピアス。💍
[ジュリア]マリオの奥さん。
[スパルタコ]捜索者。七三分け。
[ブセッティ]眠そう。髭が濃い。緑のビニール袋。
[マルツィオ]捜索者。髭。茶色の革ジャン。
[ルドヴィコ]ニット帽の漫画家。🖊️
[レベッカ]上の階の住人。

【感想】🥂🚬
うつ病になって引き籠っていると、親戚のお兄ちゃんがやって来て育ててくれるような話し。

だらだらしている。男2人の戯れを眺める映画。ほんわかした世界。
昔の映画を観ているような懐かしさと安心感がある。

泥棒と引き籠り。偶然出会った2人の青年は一見すると正反対のようだが、孤独という点で共通している。

2人が友情を育んでゆく様は微笑ましくて癒されるが、アパートからの脱出という、いずれ訪れる別れを考えると切なくもなる。

1962年公開のイタリア映画『追い越し野郎』が下敷きになっている。
(大写しになるポスターと、劇中で起こっていることが一致している)
オープニングから、キャラクターの設定、話しの流れ、期間限定の友情まで同じなので、ある意味、マフィアを絡めて現代版にリメイクしたようなところがある。
結末が印象的なのだが、本家で成し遂げられなかった思いを、成仏させるために作られた映画のようでもある。

面倒な理屈抜きにしても、ずっと映っている主演のアンドレア・ラッタンツィが色っぽいので、彼が目当てでも充分楽しめます。
(Netflixのドラマ『サマータイム』にもダリオ役で出演している)

アパートから出ないバディものという、現代的なワンシチュエーション。
ドライブも海水浴もありませんが、今のイタリアを感じられる作品です。

【映画に登場する用語集】🏝️
『Carl Brave - La Svolta』🎤😎🎵
最初と終わりに流れるテーマ曲。ローマ出身のラッパーの柔らかな声が心地いい。

[アルヴァーロ・ヴィタリ]👨🏻
イタリアの俳優。本編に登場するルドヴィコのような役を得意にしていた。

[シャロン・ストーン]📺🪑🚬
アメリカの女優。『氷の微笑』で椅子に座って生脚を組み替える人。

[ディノ・リージ]📣
イタリアのコメディ映画監督。

[マール・ド・パライーゾ]🏨🏖️
日本語に訳すと、楽園の海。南大西洋に面したブラジルのホテル。

[トランティニャン]🔫😑🏔️
銃を扱っている場面での台詞から。
ジャン=ルイ・トランティニャン。
フランスの俳優。マカロニウエスタン『殺しが静かにやって来る』で殺し屋を演じている。落ちが印象的な映画なので、おそらく本作の落ちを想像させるために名前を出したと思われる。

[アマトリチャーナ]🍅🍝🧀
素朴なトマトベースのスパゲティ。劇中ではトマトの酸味にハムの塩気、チーズで風味をつけてコクのある仕上がりになっている。
ルドヴィコが「パルメザンか?」と聞かれて「ペコリーノです」と答えている。ペコリーノは酸味や塩気が強く、アマトリチャーナと相性がいい。
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