回想シーンでご飯3杯いける

マルセル 靴をはいた小さな貝の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.2
郊外の一軒家に祖母と暮らす貝のマルセルが主人公。そこに引っ越してきた映像作家のディーンがドキュメンタリーを撮影する体で綴られている。配給はA24である。

映像は実写とストップモーション・アニメの合わせ技。こういう小動物を描く場合、身体の小さい彼らの知能は人間の子供程度で、それを人間が眉を細めながら眺めるという描写が定番なのだが、本作は全く逆で、貝の方が知的で、人間社会を達観しているのが特徴だ。

知識をひけらかすような感じではなく、飄々と人間の行動を分析する。人間である僕達は、どこか至らない部分を指摘されているような気分になってしまう。他にもテニスボールを筆頭に、人間の道具を全く違う用途で使いこなすのが可笑しい。

小動物や妖精の類が登場する従来の映画とは、主従関係が逆になっている、その設定が最大の魅力なので、90分の尺になると、後半はややダレる。短編~中編向きの設定だと思うのだが。