なるなる

マルセル 靴をはいた小さな貝のなるなるのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ポスター見た時は「え何コレ、キモい…」と思って避けてたのに…!
SNSでいくつかオススメコメント読んで、何気なく見てみたら胸を撃ち抜かれてしまった。

思っていた以上に良い作品。
何となく先のストーリーが読めるのに、それを裏切る細やかな設定、制作、セリフ等により、オリジナリティ溢れる作品になっている。
ドキュメンタリー調に仕上げる事で、マルセルのような生物が本当に存在しているかのリアリティが感じられるし、最後にはマルセル達が愛おしい存在に変わる。

たった90分間で様々なストーリーの変化があり、少しずつ新しい世界を知って成長するマルセルに心を動かされずに居られない。
コメディなのでちょっとした笑いも終始忘れず挟み込まれており、ラストは心が暖まる。何とてんこ盛りな展開!スゴすぎる!

声の演技も素敵。
人間だと7〜8歳位?の子どものマルセルの声。好奇心旺盛でユーモアセンスも抜群。
ちょっと早口に沢山話したがるところとか、
初めてのドライブ中に頻繁に吐いちゃう時、マルセルがその度に「I'm so sorry.」って本当にすまなそうに言う所とか"知的生命体"を感じて愛しく思う。

マルセルと暮らすおばあちゃんの声も素晴らしい。声が暖かくて優しくて…年長者らしい落ち着いた声でマルセルを見守るガーディアン。
勉強熱心でとてもタフ。本を読んだり、苦手だった虫とも仲良くなって一緒に畑を作る。素晴らしいガーデナーでもある。
おばあちゃんはケガをきっかけに少しずつ体調が芳しくなくなっていく。
余命短いことを自ら悟ってからは、マルセルに家族や仲間を探す為にも、豊かな人生を送れるように、有名TV番組のインタビューを受けるというチャレンジを促し続ける。

インタビュー当日、おばあちゃんは絶不調の中、自分の体調を心配するマルセルに最後の激励とハグ(?)をする。
撮影を見学途中に窓辺に移動させてもらったおばあちゃん。そこで休むかと思いきや、てんとう虫(lady bag)に導かれて…亡くなります。
調べると、英名のladyは聖母マリアの事らしいので、マリア様に導かれたという事かも。

その後のマルセルがするお弔いが!また素晴らしい!
靴をペンで黒く塗ってもらって、お別れの曲をマカロニで吹いて、弔辞を読み、
墓標はチェスのクイーンって所にグッとくる。
おばあちゃんが大好きだったグリーンピースをたくさん収穫してお供えしたり、青い草花を飾って1人で素晴らしいお葬式を執り行います。大切な誰かを亡くした時に精一杯見送りたい気持ちが伝わって来る。

エンディングロールのタイポグラフィが、マルセルがスケートするように描いたマルセルフォントなんだろうな。と思わせる演出も、最後の最後まで小さな隣人をフィクションにはさせない感じで素晴らしい!!

最初はスマホでマルセルを撮影していたであろうディーンが、ドライブする時はGoPro使って、最後にマルセルを新居に呼んだ時は立派なカメラをセッティングしていた所も、マルセルだけではなくディーンも成長した(仕事増えた)って設定なのかな?と思ったりした。

戻ってきたマルセルのコミュニティは貝以外にスナック菓子やピーナッツ、タンポン(驚!)もあったので…
ちょっとわからないけれどゴミとして部屋の隅に落ちたりしていた物に魂が宿った設定なのかな???

誰かと関わりながら楽しくサバイブする内にそれぞれが影響し合って少しずつ成長していくものなんだなと感じるし、主要キャラクターの事を皆愛しく暖かく応援したくなる心温まる映画だった。
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