実写×ストップモーション。とても小さな貝が主人公の不思議なモキュメンタリー。
クリエイターの男性が2.5cmしかない小さな貝にインタビューしていく構造。人間と貝が普通に会話をしていて、普通なら違和感を覚えるはずなのに、不思議とこの映画にはそれがない。
多分マルセルがあまりに気軽に話しかけてくれるのもその理由。気付いたら、すんなりこの世界を受け入れていた。それどころか、自分もマルセルと話している感覚になってきて、最初の数分でもう庇護欲すら湧いていた。
この作品を端的に言うなら、おしゃべりな小さな貝のマルセルを通して、人生を学べる映画。あんな小さくても好奇心旺盛で、精一杯に生きていて、それでいて悩みや不安も尽きない。現代社会を生きる人たちは、人間よりも人間らしいマルセルに、学ぶことがいっぱいありそう。
単純にマルセルの成長ストーリーとしても楽しめるけど、どこか現代社会の脆弱なコミュニティに対する皮肉も込められているような気がした。