ベルベー

劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)のベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

2.7

このレビューはネタバレを含みます

エンディングで明かされるのだが、なんか劇場版最終章の第1作目らしい本作。そんなに元気あるのか。スタッフもキャストも高齢化著しく、それが全部映像に出ちゃってたが…いや年齢を考えたら十分元気なんだけど、でもさや香のネタの「お前のオトンの元気のマックスは俺の微熱のちょっと下や!!」を思い出してしまったな。ちょっとな。アニメすら高齢化社会な日本の現実をひしひしと感じるのであった。

前作「新宿プライベート・アイズ」は20年ぶりの新作ということで、とにもかくきもエネルギッシュな快作だった。正直時代にあってない下ネタやギャグセンスも開き直って「これがシティーハンターだ!」と宣言するかのような、覚悟が感じられた。お話自体も見事な王道起承転結で、最後に「Get Wild」のカッコ良さ。令和が迫る2019年2月に、年上世代の底力を見せてくれたのだ。

リスクを背負ってもあの頃のシティーハンターを貫いた前作は無事新旧ファンに受け入れられ、大ヒットを果たしたのでした。その成功があったから作られた今回の「天使の涙」。確実にパワーダウンしてる!前回20年分の力入ってたからね。そこから4年しか経ってないし。でも二匹目のドジョウ狙いが先に立って勢いは減退してたでしょ。

前作受けたからちょっと省エネしても大丈夫でしょという余裕かスタッフ・キャストの体力の限界か(多分その両方)、散漫な小ネタがランタイムの大部分を占め、アクションは控えめ。ある意味ちゃんとあの頃のアニメ映画の作り方だが…違う!だから受けたわけじょないよ前作は!昭和の下ネタが大ウケしたわけではないのよ許容されただけで!だから増量するんじゃあない!!

と言いつつマッチングアプリでモッコリする冴羽獠は見たかった2023年の冴羽獠なんだけど。そのシーンが一番面白くてええんかなと。バナージ・リンクスやルパン三世の客演が見所でええんかなと。キャッツ3人娘は客演してもそろそろありがたみが薄れてきたし…。あと昨今、下心要素を何とか削ろうと苦心しているマッチングアプリ運営会社の皆さんは怒っていいと思う笑。

原作ではラスボスだけどアニメ未登場だった海原神を巡る物語が始まるということで、嗚呼まだそんな大きい弾を残していたんだ、そしてそれをやるということは(少なくとも神谷明の)「シティーハンター」は終わらせようということなんだとちょっと切ない気持ちになったりもしたけど。それにしてもこの話、しみったれててまどろっこしいな!

アニメの「シティーハンター」に自分が求めているものって、王道の起承転結なんだなーって思いを新たにした。北条司には悪いけれども。アメコミ映画みたいなまどろっこしいことしないで、それが観たいわけではない!って。いやクオリティ高ければ別の切り口として楽しめるんだけど、そういうわけでは…じゃあ昭和ギャグ止めてくれってなるし。今回の敵のジャイアンとスネ夫はやたら人間味があってその分悪役としての魅力に欠ける。肝心の海原神ちょっとしか出ないし。

あとはアレだな、「Get Wild」ってイコール「一件落着」なんだよな。だから今回みたいに「本当の戦いはここからだ…」みたいなテンションでかかっても求めていた爽快さに達しない。とっ散らかったギャグ省略して大真面目に作ったら一本にまとめられたんじゃない、この最終章?モヤモヤしちゃいました。
ベルベー

ベルベー