Yellowman

レイモンド&レイのYellowmanのレビュー・感想・評価

レイモンド&レイ(2022年製作の映画)
3.5
イーサン・ホークとユアン・マクレガーが共演する映画なんて、そりゃ、絶対観るでしょってなる。世代によって青春時代の憧れた映画スターは、色々いると思うが、自分の年代だとトム・クルーズ、ジョニー・デップは、ちょい上の世代なのかな。彼等がハリウッドの王道気流に乗った頃、学生時代の捻くれてた自分としては、ユアン・マクレガーがスターウォーズでブレイク前の単館系orミニシアターな頃、イーサン・ホークはハリウッドでは落ちこぼれで、独自の道を開拓してた頃に夢中になっていた自分としては、感慨深い作品だ。

で、本作。まず、2人共、年相応に老けたなと(笑)レイ演じるイーサン・ホークのやさぐれた中年オヤジとレイモンド演じるユアン・マクレガーのとっつぁん坊やっぷりが見事にハマっている。2人は、異母兄弟の設定で、父親が亡くなったと知らせを受けたレイモンドがレイの家を訪ねて、葬儀に行こうと言う。だが、2人には、それぞれ父への恨む辛みがあり、レイモンドは、行く事によって、これまでの積もり積もった怒りを爆発させたいらしい。話を聞いたレイは、ますます、行く気が失せ、その後の兄弟喧嘩?男同士のすったもんだありつつ、次の日1台の車で兄弟2人だけの父の元へのドライブがスタートする。

本作は、コメディ要素の強い会話劇な為、イーサン・ホークは、場数こなしてる感で、すんなり溶け込むのだが、ユアンの方は、新境地って感じで、役同様に、不器用さが出ている。サプライズは、イーサン・ホークがトランペットを吹いた時だ。7年前にチェット・ベイカーの伝記映画で、イーサンがチェットを演じていて、その破天荒な人生まんま、本作のレイにも通じるものを感じさせる。で、本編に戻ると、父と晩年付き合いのある人達が口を揃えて語るのはとにかく破天荒な男。葬儀前に知り合った父とお付き合いしていた女性が兄弟より若くて美人で、しかも2人にとって異母兄弟になるまだ幼い子供までいる。そんで、葬儀に集まった人達から聞かされる父のエピソードで、泣いたり笑ったり。で、大事な遺言に記された必ず兄弟で葬儀の前にやらなくてはならない事をやるまでが山場。正直、この手の話、設定は使い古されている感はあるが、だが、この作品は、ユアン・マクレガー、イーサン・ホークが共演して、新作映画を撮ったという所に価値があると思う。ハリウッドでは、2人とも主役級で、少し前なら考えられない。しかも配信でという、確実に映画産業の変化を目の当たりにしたような作品かも知れない。
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