ASHITAKAAkino

レイモンド&レイのASHITAKAAkinoのネタバレレビュー・内容・結末

レイモンド&レイ(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

息子に墓を掘らせたいそうだ 機械を使わず手でね シャベルは使用可能


とにかく宗教色は抑えてくれよ  私は牧師だぞ


2023年 5本目

ただただ最高でした。
イーサン・ホークは『Moon Knight』ではなく『Raymond & Ray』を。ユアン・マクレガーは『Obi-Wan』ではなく『Raymond & Ray』を。と思わずにはいられないくらい紛れもない傑作。

運転中、弟の真面目な話を笑い飛ばそうとするイーサン・ホークがユアンの顔を見て思い留める絶妙な演技。頬や額の皺すら自在に操っているかのような、そんな錯覚をさせる名優だと改めて気付かされます。泣いているときや人物の悲しみを表現するために雨を降らせて、あろうことかずぶ濡れにさせて心情を吐露する、なんて野暮なことはしない。血の繋がらない兄弟はハグもしない。最後の最後で雨が降るが、なんてことはない。車のワイパーをかけて道を行く。前へ進む。雨が降っていようが関係ない。

貞操観念もなく人格的にも誤った行動の多かった駄目な父親の葬儀に向かう兄弟の数日を描いただけの物語、といえばもう本当にそれだけの話です。「赦し」というのがひとつの主題でもありますが、大げさな解決や派手なカタルシスを用いてないところが潔く、この作品の気高さを確かなものにしています。ローストレス、ノーシリアス。それでも映画として充分成立することを証明している。

定期契約の都合上、
Netflix > Amazon Origingal > U-NEXT(HBO) = Disney+ > Apple tv
という優先順位の人は少なくないのかな、と想像します。実際、観てる人少ないし。ですが、テレビシリーズ含めても、作品の純度の高さはAppleが格上なのはいくつかの年間ベストを見ても揺るぎない事実。ただ問題なのが、観てない人が多すぎるので、結局個人のベストから外されてしまう(メディアによっては配信は全スルーという意味不明なものも)という。宣伝もあまりうたないのもマイナス。できれば盛り上がって、こういう映画を地元のシアターでポップコーン食べながら観たいものです。
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