ASHITAKAAkino

異人たちのASHITAKAAkinoのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます


でもさ"ゲイ"って言葉が使われすぎてる

じゃ 寂しくない?

投げれるか?  できない  ほら見ろ


2024年映画33本目

現代的な寂しさと死者との繋がりを描いた映画。
泣かせに来ているなと思っていたら見事にくらう。
役者は舞台劇ばりにミニマル。最近そういう作品によく触れている気もする。『Dune Part2』とか『Oppenhimer』とかAmazonの『Expats』とか観て以降、やや不感症気味だった感覚が『Past Lives』同様、現実に引き戻してくれるような作品。
監督は『Lean on Pete (荒野にて)』のみ鑑賞のアンドリューヘイ。この間にシリーズを一本撮っているので久しぶりのスクリーンはリメイク。

そもそも原作観てない不届者ではあるのですが、面白かった。マジックレアリスムと言えば良いのか、その原因や理由、説明台詞を排除した構成は正解。想起したのは『The Six Sense』とか宮藤官九郎の近作。両親の幽霊が住んでいる家を行ったり来たりするだけといえばだけの脚本。彼らは死を自覚していて、息子と接している。

ノスタルジー、クラブ、ドラッグ(ウィードとケタミン)、たくさんの音楽、子どもの頃の部屋は前半の"ゲイ"っぽいを回収。
朝焼けから始まるショット、好き。ガラスの反射や鏡の写し方も好き。

ポールメスカル。個人的に『Aftersun』に昨年1番やられた身としては、タイプキャスト気味ではあるもののいいものはいい。というか役者も全員いいし、好き。重大な誤ちに繋げるのはドラッグよりアルコール、というのは正に、という感じ。『Breaking Bad』もそうだったなと思い出す。
ふと思い出したのは是枝監督の『怪物』(最近見た公開尋問の記事が記憶に新しい)のエンディングは死の符号というよりかは、解放的なメタファーとして捉えていました。本作に関しても死と解放は密接に。たまに見かける言説にバッドエンドだから救われない、現実世界に救いが見出せない、というものがあり、首を捻る。幸福なエンディングなら現実世界でも救われるのだろうか、と。もっと重要なものを見落としてしまうのでは、とも思う。作品の中にあるいくつかの抱擁と彼の言う蘇ってくる痛みに対する想像を。
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