『ドロステのはてで僕ら』以来の脚本・上田誠×監督・山口淳太、ヨーロッパ企画制作の新作。冬の京都・貴船を舞台に同じ2分間をループし続ける群像劇。
たった2分間の繰り返しでここまで面白く展開できるなんて、さすが上田誠。2分間のループに陥ったら起きるであろう事件や言動、思考がおそらくすべて描かれていて、早々に「時給はどうなる？」という疑問に行きついていて笑ってしまった。
舞台の老舗旅館の装置としての優秀さも光っていた。旅館の構造をもとに当て書きしたのかと思うほど、その構造をフルに活用した展開で、各2分間1カットで、毎回主人公が初期位置から右へ左へ上へ下へ旅館を進んていくのが痛快。RPGでダンジョンを攻略していくうちにマップが頭に入っていくように、この旅館の構造も自然と頭に入っていった。
また、ループ毎に天候が変わり続ける貴船の景色にもニヤリ。ループを繰り返したため生じたズレと説明されていたが、撮影している間同じ天気が続くわけもないのでおそらく撮影上の都合であろう。
主演の藤谷理子のキュートさとコメディエンヌっぷりに笑顔。名古屋では、『ドロステ～』が小さなミニシアターでの上映だったのが、今作はシネコンで上映されていて、これは久保史緒里（乃木坂46）の友情出演のおかげなのだとうか。
