12歳の少女“ノラ”と少年“ヘソン”は両思いだったが、ノラの移住により離れ離れになってしまう。12年後にオンラインで再会するも、ニューヨークとソウルという隔たりがあり疎遠になってしまう。そして、そんな2人がついに24年ぶりに再会するーーー。初恋の相手との再会にけっしてのぼせ上がることはなく、登場人物はほぼ3人のみで大げさなドラマ性もない、大人の恋愛映画。
つい主人公ノラの夫である“アーサー”に感情移入してしまう。妻の初恋の相手がわざわざ遠路はるばるニューヨークまでやってきたらそりゃ気が気じゃない。自分とは行ったことのないスポットに行って、自分の知らない言語で仲良さそうに話して、自分の出会う前の妻の名前を呼ぶんだから嫉妬してしまう。ノラの寝言はいつも韓国語で、ノラの頭の中には自分の入れない世界があることを気にするという、アーサーのベッドでの語りに胸が詰まる。それなのに、ヘソンを優しく迎え入れ、拙い韓国語で話しかける姿にもう…。
もしも、あの時、思いを伝えていれば、会いに行っていれば、そうクヨクヨ考えてしまうのは男の方ばかりで、ノラは一貫してヘソンに期待を持たすようなことは口にせず、ヘソンはただあの時の少女が好きだったのだと諭すように話す。ノラにとってはヘソンはただの美しい過去で、自分の居場所を築いて愛する夫がいるのだから、今さらと思うのだろう。と思ったら、なんですか、ヘソンと別れた後のあの涙は…！嬉しいとか悲しいではなく、あらゆる思いが溢れて出た涙なのだろう。切なくも美しいエンディングに魅了されてしまった。
