かすとり体力

リバー、流れないでよのかすとり体力のレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
3.8
「2分間タイムループもの」というこれまたヨーロッパ企画らしい作品。

当初この設定を聞いたときには、「これまた複雑な・・・」と感じたものの、今回は登場人物全員が同様のタイムループに巻き込まれこの設定を共有していて、かつ全員がループ前の記憶がある(タイムループについてお互いに議論可能)ということで、結果して思った以上にシンプルな仕上がりだった。

そのせいか、複雑なタイムパラドクス設定が思いもかけない展開へと発展していく同劇団作品『ドロステの果てで僕ら』に比べると、作品自体が非常にライトな印象に。

一方、上述の設定により、登場人物がタイムループを「所与」として行動し始める様子など、コメディー的な面白さはしっかりと担保されていて良かった。
(「次のターンでこう動きましょう!」みたいな議論をしたり、試しに殺してみる、試しに死んでみるといったあたりは「これよこれ!」とテンション上がった)

また、「タイムループを所与とする」という挙動からは、作品ジャンルは全く違うが、トム・クルーズ主演映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』あたりと近いものも感じたです。

あと、これは作品が意図したテーマかどうか分からないんだけれど、皆が「2分間でループする」という前提を共有した結果、どうせまたタイムループするんだから、と「普段は出来ないこと」をやり始めるところはグッと来た。

おそらく現在、あらゆる組織で「色々とチャレンジせよ!!」という声掛けがなされていると思うが、どうしても日本人の気質として、失敗を恐れてチャレンジしにくいところがあるかと思う。

そんな中、本作から「どうせ失敗なんかしても困るのはそのときだけで、みんな忘れちゃうんだから、どんどん新しいことやってみようよ!」というポジティブなメッセージを
(おそらく私が勝手に)受け取った次第。

以上です。

純粋に面白いし、小難しくもない。
誰でも楽しめる間口の広さを持った作品だと思う。
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