ひでやん

リバー、流れないでよのひでやんのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
3.6
貴船川のほとりに佇んで。

2分間のタイムループから抜け出せなくなる群像コメディ。京の奥座敷として愛される貴船が舞台で、オール貴船ロケ。長い階段に朱灯篭が並ぶ貴船神社と、情緒あふれる老舗料理旅館「ふじや」の風情を堪能。聖地巡礼を目的に京都に行きたくなった。

カップラーメンもできない2分間。そのわずかな時間に本館と別館が向かい合う旅館を行き来し、川のほとりや神社をドタバタと奮闘するループは見事。初期位置からミコトをカメラが追いかけ、1秒の狂いもなくピッタリ2分のワンカットを何度も繰り返すので、どこまで移動できるか、どれだけ喋れるかという緻密な計算が必要。1ターンが数秒足りなかったりオーバーした場合は撮り直しになったという。一番驚いたのが、旅館「ふじや」がミコトを演じた藤谷理子の実家だという事。

板前のタクが顔を出してターン終了。中居のチノに話を聞かれてターン終了。続きは次のターンで、という2分間の連続ドラマを観ているようだ。「この時間が続けばいい」という願望は誰もが持つ。映画を観ていて寝落ちし、翌日最初から観て同じ所で寝落ち。最近そうゆうのが多くて、自分の部屋が1ヶ月で外の世界は2分という「もしも」を願った。無限ループはいいや。
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