「私、初期位置その下のあたりなので、いつでもお声がけください」
「俺ずっとここよ?ずーっと風呂よ?!」
「うちらもずーっと雑炊なんで」
「次のターンで本館の3階に来て欲しいの、説明会します」
なるほど、限られたシチュエーション、登場人物を上手く使った話だった。
怖みが一切なく、非常にテンポの良い「トリック」って感じ。
なんとなく、劇団の舞台劇を超見やすい画角で見てる感じもした。
タイムループもので珍しい、見てるコチラも登場人物たちと同じ長さの時間を繰り返す仕様。その時間が「2分」という、絶妙に色んなことが達成できない長さなのと、
ワンシチュエーションではなく、旅館とその周辺地域が舞台になってること
登場人物が10人ぐらい出てくることが
30分ぐらいでパパッと終わりそうな話を80分無理なく構成できる要因かなと。
タイムループ以降は、カメラは基本的にずっと主人公ミコトについて回るので、より没入感のある展開になってるものの、
ところどころのセリフがちょっと芝居くさすぎるのが気になったり、
貴船にある旅館なのに、宿泊客はまだしも旅館スタッフが誰1人として京都弁喋ってないのがすごい気になったり(仮にもヨーロッパ企画って京都が拠点なのでは…!?)
中盤でミコトから明かされるタイムループに関係した話は納得できたが、終盤で明らかになるタイムループの真相にはシラけてしまったのと、
これはシンプルに好みの問題なのだが、愛着を持つべきミコトの顔と性格が個人的にタイプでなかったので、序盤は応援できたが中盤以降はちょっとウザくなってしまったこと、料理長の役者とキャラ設定が合ってなかったこと等が気になり、
故にこのスコア。
とはいえ、
何度も同じカットを撮影する=雪が降ったり晴れたりと天候が変わる ことを「世界線がズレてる」と説明するのは力技だけど上手いなぁと思ったり、
タイムループして時間が戻り、全員が同じ定位置から再スタートしなければならない絶妙な面倒くささをカットせずにちゃんと見せてくれたのは頑張ったなと思うし、
ケンカなど、記憶が引き継がれたまま何十回も時間が繰り返されれば自ずと起こるであろうイザコザや、繰り返す時間は必ず「無かったことになる」と分かれば、きっとやる人もいるであろうあんなこと…など、このシチュエーションで想定されることを色々見せてくれたのは、事象がバラエティに富んでいて、飽きなくて良かった。
役者は演じててすごい楽しかっただろうなぁ。ラストの大作戦は達成感ありそう。
スタッフも、ミコトと共に何度も何度も階段を駆け上がるカメラさん、何度も役者の髪の毛セットするメイクさん、音響さん、、チームで仕事する醍醐味が味わえそう。
この作品の打ち上げで飲む酒は美味しそうだなと。