人間の凶暴性を増幅させるウイルスが蔓延した台湾を舞台に、地獄絵図と化した街で再会しようと奔走する恋人の運命を、容赦ないゴア描写で描いたパニックホラー。
✳︎
ホラー好事家の間で話題になっており、劇中写真が「これは!」と思わせるものだったので、初日に観てきました。満席(笑)。
感想は、噂に違わぬドチャグロ映画で、思いつく限りの「最悪なこと」がどんどん起きて最悪でした(褒め)。
「頭に残る鮮烈な画」が何箇所もあり、ビジュアルで作る監督なんだという印象。
分類としてはゾンビものになるんだろうけど、ゾンビ(死体)ではない。
生者のリミッターが外れ、あらゆる欲を満たそうと凶暴化する。だから自我もあり普通に喋る。これが意外と新鮮で怖い!
言葉は通じるのにコミュニケーションが取れないという気味の悪さ。
ただ、脚本は荒がありまくり、セリフも陳腐で、けして褒められたものではない。
とにかく、積みもなにもなく、人が死ぬところをバンバン見せられるので、「グロのためのグロ」に見えてしまい、露悪的と言うほかない。
主人公二人の関係性が全然積めてないから、ラストもピクリとも感動できない。
暴力加害者も苦しんでいるんだというメッセージとも読み取れる設定(涙を流す)も不快だったし、
主人公のヒロインも言動がムカつくので(オタクおじさんのスマホ奪うのかわいそう)、ファイナルガールとして不適格。
鮮烈なビジュアルが出色の作品ではあるので、脚本が良ければホラー映画のマスターピースになっていたかもしれないので惜しい。
ともかく、日本公開に踏み切ってくれたことには心から感謝。