【STORY】
風邪みたいなもん、として政府がナメていたウイルスが恐怖の本性を現すと、人々は脳を刺激され、暴力と性欲に支配されドSサイコになってしまう。
殺人、拷問、レイプ、集団リンチが横行する地獄絵図を、未感染の人々は生き残ることができるか…?
【感想】
《救いのない世界3貫②》
普通の日常的な光景が、ウイルスによる刺激によって地獄絵図と化す。
住宅街、電車、病院…身近な場所で狂気が蔓延するそのコンセプトには、「今普通に過ごしている世界が突然こうなったらどうしよう」という想像を不可避にする強烈な力があり、自分のモラルが歪むような不快感があった…
痛い描写はとことん痛く。エグい所業はとことんエグく。イカれた演技はとことんイカれてる。ホラーの中でもこうも本気で顔をしかめたり目を背けたりしたくなるレベルは中々ない。
それこそ、『マーターズ』『屋敷女』といったエグい傑作フレンチホラーに匹敵する狂気と嫌悪感を感じた。
題名が"怒り"でも"狂気"でも"恐怖"でもなく"悲しみ"なのが最高に秀逸。
狂った自分の本能に抗えない悲痛がテーマだと最初に明示されていることで、ド派手グロ映画のような"ヤバすぎて笑っちゃう"という楽な逃げ道を初手から封じられてしまう。だから、とことん辛く苦しい。心を殺された。