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哭悲/The Sadnessのtigerpantsのレビュー・感想・評価

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)
3.2
たしかにキャストは全員台湾人だけど、監督自身はカナダ出身だったりして、はたしてこれを台湾映画、ひいてはアジアン・ホラーの新潮流と呼んでいいの?

ある日、謎の感染ウィルスが突然変異し、ヒトの脳を超絶凶悪にする疫病が発生し、たちまち大流行。感染者たちは罪悪感で涙を流しながらも暴力衝動を抑えられず、街では思いつく限りの残虐行為が行われ、殺人と拷問と強姦と人体破壊で溢れかえってしまう……という、ご都合主義的プロットに則って「思いつく限りの残虐行為」が映像として描かれる、という趣向。

パンデミック・パニックとゾンビ・ホラーを合体させ、さらに(『テリファー』的な)人体破壊の要素をトッピング。なので、ゴア描写も振り切れている……というか、映画のウリはそれしかないので、そこを楽しめるかどうか?(魅力的な俳優もキャストに混じってはいるが、性格描写が深まる前にゴアシーンになってしまう!)

最初の「見どころ」に相当する地下鉄車両内の〝血みどろ〟度合いからして期待は高まるものの……この種の「流血・切り株描写」はすぐインフラを起こしてしまい、あとはどこまでエスカレートするか? とりわけ「性暴力」的な描写はハードルが高く、単に「ウィルスで頭がおかしくなったから」というのでは、やや子供騙しな気も。

最大の謎は(ジョニー・ワン扮する)若い娘に毛嫌いされる会社員キモおやじ。いったい彼は「もともとヤな奴」だったの? それが(謎ウィルスに感染して)ますまず「凶暴でかつヤな奴」になったの??(ちがいが分かりづらい)。サイコキラー役としてキャラが立っていたけれど、謎ウィルス関係なく、単なるハイテンションな「セクハラおやじ」だったとしたら…?!
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