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ザ・カナル 悪魔の棲む場所/運河の底のtigerpantsのレビュー・感想・評価

2.8
仕事で点検中の古いフィルムに自分の住む屋敷が写っており、しかも陰惨な殺人事件が記録されていた! 自分んちが事故物件だった衝撃も止まぬうち、ある晩イケイケな格好をした妻の跡をつけてみたら、不倫相手と火が出るようなセックルの真っ最中! 

悪夢と幻覚に魘される彼だが、翌朝になっても妻は帰宅せず。警察の捜索の末、近所の運河から水死体で発見される。その後も自宅の随所で〝悪霊〟の影や怪現象に悩まされた彼は、妻を殺した真犯人を見つけ出さんと自力で格闘するのだが……。

アイヴァン・カヴァナー監督の(Jホラーみのある)アイリッシュ・ホラー映画。『リング』や数々のファウンドフッテージものを連想させる〝禍々しい映像〟のテンションはなかなかだが、結局のところ「旦那の頭がおかしい」のか「館に巣食う〝悪霊〟の呪いのせい」のか……うまく説明がつかない結末に、モヤってしまう。

「NTRもの」としてのポテンシャルはあるものの、哀れな主人公にベタベタと纏わりつく同僚女性や、日増しにおかしくなる彼に翻弄されつづける若いベビーシッターなど、周囲に(奇妙な)味方が散りばめられているのも不自然極まりないし、そもそも「運河」という象徴的な光景が、さほど効果的に機能していないのが惜しまれる。

とはいえ……運河脇の公衆トイレや(自宅の地下から運河へと続く)下水道の澱んだ情景からは、独特の(日野日出志的な?)ホラーセンスを感じさせないでもない。

ところでその「下水道での出産シーン」……あれは一体、何だったんだろう?(どうしても監督が「やってみたかった」とはいえ、唐突の誹りは免れない)
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