ハンスウ

ボストン1947のハンスウのレビュー・感想・評価

ボストン1947(2023年製作の映画)
3.9
今日は埼玉スタジアムの近くの浦和美園のイオンシネマまで行ってきました。イオンシネマはだいたい上映ラインナップがどこでも同じですけど、一部のミニシアター系作品は各地に散らばるんですよね。今年は群馬の太田と埼玉の春日部とここ浦和美園まで、あっちこっちのイオンにGoogleマップの力を借りて行ってますが、考えてみたら映画代+ガソリン代もけっこうかかってそうです。恐ろしや……

またしても韓国の実話を元にしたフィクション。あくまでもフィクションです。なぜフィクションと強調するかというと、エンタメ映画として成立させるためにやはり脚色して盛り上がるようにしてるんですよ。それを踏まえた上で楽しむことが大切ですよね。日本の大河ドラマなんかもよく史実と違うとか所作が違うとか得意げに揚げ足とる人がいますけど、違うに決まってますよ。いろいろ変えて違うようにしないと劇作品はおもしろくならないわけですから。

今作を含めて、ここ数年では韓国の実話だの歴史だのを映画を通して知る機会が多いですけど、思えば、アメリカの歴史でなんとなく身についている知識っていうのは、全部映画を通して得たものでした。南北戦争も人種差別もベトナム戦争もアメリカ映画で知りました。だから韓国の映画監督たちが歴史を映画化しようとするのも必然的なのかもしれません。

この映画はどんなのかというと、え〜と、日本の植民地時代にベルリンオリンピックで優勝した朝鮮人マラソン選手は日の丸をつけて、つまり日本代表として優勝してるっていうね。日本が撤退して戦争が終わってもその金メダルは日本の記録ということで、朝鮮は国の名前すら国際的に認められていないっていうんらしいね。

数年後、世代が変わって今度は若いマラソン選手を次のロンドンオリンピックに出したい。でも、出れないよってなるんです。その若手選手はチョー有望。出れば金メダルを狙える。なぜに出れないのかというと、朝鮮には国際大会での実績が必要って言われる。えっ!? ベルリンで金メダル取ったじゃん!って言ったら、あれは日本の記録だからダメなのよ〜って言われる。でもアメリカのボストンのマラソン大会に出て実績を作ればオリンピックOKよ。って言われたのでボストン1947に出ることになったのですぅ☺️

そこから一難去ってまた一難と、ボストンの大会に出るまでがまた大変で、そこの苦労がいろいろあって、またアメリカに渡ってからもスムーズにいかずまだまだ壁が立ちはだかる。それをいかに乗り越えるかっていうドラマをやってます。このへんはおもしろいんですよね。監督も演出で遊んでて楽しんでる感じがあります。

これは一つのスポーツの歴史を知るには非常にいい機会だと思いました。確かに朝鮮人はいるのに朝鮮という国は存在しない。それでも大会は国別に競い合ってるし、朝鮮人選手も走りたいから仕方なく日本代表として走ってましたということがあったんだなあ〜、へえ〜、そんなことが、って思いました。そんなことをベースにコメディやシリアスを使い分けてベテラン監督が巧みに仕上げていたと思います。サクセスストーリーなのでワ〜っ盛り上がりますよ。わたしも素直に感動しました。音楽を使ってね、盛り上げよう盛り上げようとします。ドラマが熱いからそれくらいがちょうどいい……のかもしれません😅

さて、当のカン・ジェギュ監督。まだ60代になったばかりで若いんですね。この人はやっぱり「シュリ」の監督なんですよね〜。2000年代の「ブラザーフッド」も韓流スター共演で話題になりましたけど、やはり「シュリ」が代表作でしょう。もうすぐデジタルリマスター版が公開です。今日も予告でチラッとスクリーンで観れましたけど、まるで新作の予告みたいにワクワクしました。当時、アメリカ映画を軽々と超えるようなアクション映画が韓国から登場してビックリさせられましたが、VHSかDVDでしか観たことなかったので楽しみです。早く来い!
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