Omizu

EO イーオーのOmizuのレビュー・感想・評価

EO イーオー(2022年製作の映画)
5.0
【第75回カンヌ映画祭 審査員賞】
『イレブン・ミニッツ』イエジー・スコリモフスキ最新作。カンヌ映画祭で絶賛され、アカデミー国際長編映画賞にもノミネートされた。

スコリモフスキ作品は初かな。非常に研ぎ澄まされた演出とトリップ感のある映像体験に魅了された。間違いなく今年ベスト級の一本。

サーカスで少女と組むロバEOの数奇な旅路をたどる物語。人間はあくまで脇役にすぎず、EOの視点で語られる。とはいっても副音声などで心情を説明はしない。ただ映しているだけなのになぜこんなにEOの気持ちが手に取るようにわかるのか。スコリモフスキの演出は魔術的だ。

赤を印象的に使った撮影も素晴らしい。赤く染まった世界、自然…冒頭からトリップ感満載で引き込まれる。

EOからみた人間の世界は醜く恐ろしい。人間の都合で危ない目にあうだけでなく、馬が酷使される状況や小動物が殺処分される状況を目の前で見るという残酷さ。いかに人間が自分たちの都合でしかものをみていないかが分かる。

唐突なユペールに全て持っていかれてしまった感があった。ユペールはユペールしてた。

一番印象に残ったのはEOと白馬かな。友情?めいたものを確かに感じさせる演出がすごい。どうやったらあんなことができる?スコリモフスキ凄すぎ。

鋭い批判性と攻めた映像表現がとにかく素晴らしい。現時点での今年ベスト。
Omizu

Omizu