ロバは何も語らない。
個人的に苦手な映画だった。ストーリーというストーリーがないからあまり面白くなかった。ただただ、人間の愚かさを見せつけられた88分間だった。ロバを撮っている画が映えていた。
時々現れるスコリモフスキの異質な演出と、意図して我々を不快にさせる音楽がいい感じに観客を主に私を混乱させていた。
あの赤い映像が、とても印象に残っている。雄大な自然もフィルターをかけて見ると地獄絵図に変わるのだ。それでもあの赤い光景には我々を惹き付ける何かがあった。狂ったようにあの画面に吸い込まれていた。そして急にあの不快だと思っていた映像が終わると、一抹の寂しさを覚えるような、不思議なつくりだった。
エンドクレジットに注意書きされていたが、そもそもこのような映画を作ること自体が動物虐待なのではと逆に思えた。