ブレッソン『バルタザールどこへ行く』はかなり好きな作品であったので、リメイクには否定的だったが、どうやらリメイクというよりバルタザールの変奏というか、その基礎の上に立つ映画かもしれない程度。
人間サイドの視点はロバからの客観視でしかなく、途中から別物として見ていた。
あえて比較するならば
EOはバルタザールよりも擬人化されたロバであり、馬（同族の強者）に対するコンプレックスや現実的な動物の扱いに触れている。
只々悲壮だったバルタザールよりは、移動し続け様々な人間を炙り出すEOは機能的になって物語を運ぶ（それもどうかと思うが）。
ベイトソン的な非人間から見た世界の映画は今後増えていくような気がするけれど
このEOもまたスコリモフスキ（人間）が考えたEOの心象ではあるので、ジレンマは残り続ける。
キメにきてるショットの数々は積年の賜物なんだろう。
