カットの終わりとカットの始まりを同アクションで繋げるというともすれば陳腐になりかねない演出を軽やかに見せていく。これはパクチャヌクという確立されたブランドと実績があるからこそ為せる技で、展開もとにかくスピーディーに進んでいく第一部は死ぬほど楽しい。モロ「妻は告白する」的なストーリー構成(と、崖からの落下！「妻は告白する」では超ロングショットでのセット撮影？と記憶しているが本作はそれを真上から写す)とテンポの良い会話の応酬は一番脂が乗っていた頃の増村保造を彷彿とさせる。急なズームや透明スクリーン越しの顔など突飛な演出があるものの、同時に古典映画への愛着を深く感じさせるという不思議な映画。取り調べの所の構図が本当に堪らん！
そこから明らかにテンポを落として進んでいく第二部は一見間伸びしているように感じるものの、これはこれで良質なノワール演出として実によく出来ている。
スッポンの盗難や鼻呼吸ガジェット、グッドモーニングハムニダなど、随所で用意される爆笑ポイントもバッチリ。パクチャヌク最高傑作と断言できる。
追記: 刑事がイマジナリーラインを超えて現場に居合わせるという手法は「初恋の悪魔」を連想したり。
