さき姐

別れる決心のさき姐のレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
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自然って、やけに色っぽい表情してるものがありますよね。あの山、崖、雪、海、色気がある。霧なんてまさしく。ぞくぞくした。
これ、監督に言ったらわかってくれると思います。あえてエロい山選んだんだぜって、言うんじゃないかな。

あらゆる描写に読み甲斐があって、めちゃくちゃエンタメだけど、久々に"誰が殺した"だけじゃない厚めのミステリーに出会えて満足です。まあ、実質恋愛映画というか、恋愛映画と言うのも違うけど。
まだ1回見ただけなので、また複数回見て掘らなければ。ぞくぞくした。



“わたしが熱烈に望んでいるのは語を獲得することなのだ。魔法の語か、神話の語か。「野獣」——魔法で醜くされている——が「美女」を愛する。美女はもちろん野獣を愛してなどいない。しかし、最後には心をほだされて(理由はどうでもよいのだが、あえて言えば、美女が野獣とかわした対話のせいで)、野獣に向かってあの魔法の言葉を言う。「野獣よ、わたしはあなたを愛しています。」するとたちまちに、ハープの荘重な響きで表現される裂け目から、新しい主体の姿があらわれるのである。この物語は古代的か。”

———ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』より



プリンセス系のお話で、キスや愛してるの一言で魔法が解けるやつの意味がまるで解らなかったのですが、この映画でそういうことだったのね、と少し解った気がします。
さき姐

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