K

逆転のトライアングルのKのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
4.3
期待してたハードルを遥かに越えて面白かった。邦題と予告はエンタメ性を過剰に押し出してて、権力逆転漂着物を期待すると少し肩透かしかもしれないが、むしろ漂着前が好み。いくらでもしがめるくらいの皮肉と丁寧に振られた既成権力の崩壊が楽しい。自分はアホすぎて何も理解できてないけど何度でも見返したい。

1番のお気に入りパートはとにかくゲロゲロゲロ、老いも若いも男も女も関係なくゲロを吐きまくる吐瀉晩餐会。監督の執念を感じられて大のお気に入り。三半規管弱い人は揺れるカメラワークとみんなの吐きっぷりで貰いゲロしそう。
疾走シーン大好きマンだから駆け抜けて終わってくれて本当に嬉しい。果たして間に合ったか間に合わなかったか。ロイヤルではない鑑賞者の99.999%にとっては間に合わない方が希望だよなあ悲しいけど。音楽の入り方もトレインスポッティングとかランローラランを想起させられて好き。

印象残ったのはアビゲイルが女帝として君臨してからの男女の性的な役割の交換。ヤヤが冒頭カールにかけた言葉と押し付けた役割は全て彼女に返ってきた。かつてその立場にいたカールは過去に激昂した事も忘れちゃっかり女帝の寵愛を受けている。男女不平等はゼロサムゲームとして完璧な円環システムを成している。おそらくこの先もずっと崩すことはできない。
K

K