毛玉

逆転のトライアングルの毛玉のレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
4.2
爆笑。そしてラストは息を呑む。

現代世界の毒素を闇鍋にしたら、変なものが混ざってて笑いが止まらなくなっちゃった!的な狂った映画でした。
金持ちやモデルといった、社会的に上位に立っているとされている人たちに対しての、そして、それをそのままにしている社会を笑うような、超直接的な皮肉が満載で笑いました。

本作は章で分かれていて、一章目では主人公のモデルカップルの実態が紹介されます。ここでは、モデルの苦悩を見せつつ、ルッキズムやフェミニズム、そしてキャピタリズムを腐しまくります。
その次では、そのカップルが豪華客船に乗り込み、クルージングツアーに参加している様子が描かれます。ここから、物語が、次第に様子がおかしくなっていき、カーストのピラミッドが転覆します。

転覆後のストーリーは、ある種痛快でありながら、人間性や道徳性が試され、原始社会の成立やシンプルな欲望の矢印がとてもよく動いていき、ものすごく面白かったです。
幕切れは、とてもハラハラさせられ、人間性を問われ、こちらに全てを見せずに終わります。このエンディングはとても好きでした。映画を観た後、「あそこが面白かったね」「てかあそこキモすぎたよね」と笑いながら「最後どう思った?」「共感できる人いた?」と、深い会話に持っていく力がある構造になっていましたから。

話題性、批評性、コメディ性、この全てで高水準。何気に撮影も美しいという、抜け目のない作品でした!
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