第一幕は男女間のおごりおごられ論争。とことん本音をぶつけ合おうとする男が狂気的にも見えるが、セクシーじゃない話題を避けがちな男女関係にメスを入れている。
第二幕は富裕層のための客船が舞台となり、偽善的で醜悪な富裕層が中心に描かれる。揺れまくる船内、飛び交うゲロ、飛び交う主義主張…カオスすぎてうんざり、目眩がする（だが、面白い）。
第三幕は無人島での1幕。サバイバル能力ゼロの富裕層をバカにしている。あらすじとしてはここが主軸となるように書かれていたが、2幕の方が見せ場は多かったし、むしろ、ここは締めくくりのパートにも見える。
3幕の時間配分はやや疑問でまとまりが悪いし、ここまでやりたい放題やった結果、謎を残すラストというのも、なかなか乱暴。
眉を潜めたくなる下品な作品でもあり、ヒエラルキーを皮肉った社会派作品でもあり、飽きさせないエンタメ作品でもある。もう二度と見たくない気もするし、何度も見てしまう気もするし不思議な魅力のある作品。
