masat

逆転のトライアングルのmasatのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.0
人間の感情についての実験も、海の上を経て、ついに原始のレベルまでやってきた。
ダイナミックでスペクタクルすら感じる前2作には及ばないが、グイグイと振り回す、どっきりカメラ的見世物趣向は健在で、2時間半がアッという間に終わる。

この剥き出しの人間性で、“ウーマン・トーキング”や“ター”らとまんまと並び、アカデミー賞に突っ込んで行くのだから、映画は、世界は、変貌している、そんな証を感じる。

厄介でややこしい人間は永遠に“自分自身”に囚われている。
“ザ・スクエア”の父と娘と幻の様に消えた少年や、“フレンチ・アルプス”の家族、そして本作のお高くとまったモデルとトイレ清掃員の様に、“手を差し伸べてくれる人”は、ひょんな事から(どん底でも)きっと現れる、と信じたくなる作品群。明日、生きていくために、周りをよーく見渡したくなる。そんな支えになってくれる、下衆で本性に満ちたリューベン・オストルンドの作品は、やはり素晴らしい。
masat

masat