AYA

CLOSE/クロースのAYAのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
3.9
男の子同士の恋とか愛とかではなく、
依存と自立の話だと感じました。


小さな頃からずっと一緒にいることが当たり前だったレオとレミ。
ただその距離感は、一般が想像するよりもだいぶ近いもの。
二人だけの世界だったところから、学校という開かれた世界へ来てみれば、
「2人は付き合ってるの?」と。
からかいなどではなく、純粋な疑問を孕んだそのたった一言に二人の世界は終わりを迎える。

側から見ればとっても綺麗な純愛に見えるかもしれないけど、
レミがしている行為は共依存の強制に他ならない。
一緒に通学するのは当たり前、
隣の席に座るのも当たり前、
休み時間一緒にいるのも当たり前、
体のどこかが常にくっつきそうな距離にいるのも当たり前でしょ?と。
「君とは距離が近すぎる」(物理的に)
みたいな感じでございまして、
嫉妬心、猜疑心、独占欲がまだ心の辞書にないが故に発生する諍い。
レミは心の弱い人間で、人一倍傷付きやすい子だった。たったそれだけ。
それだけのことなんだけど、も。
レオはどうするのが正解だったのかな…
どう頑張ってもバッドエンドになる予感がします。

相談する相手のいない、2人だけの世界の美しさと脆さと。残酷な作品でした。

またレオの心に綺麗なダリアが咲きますように。

“まだ怒ってる?”
AYA

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