サラリーマン岡崎

CLOSE/クロースのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.5
主人公のレオの表情を追いかける映画だ。

大親友のレミと楽しく遊ぶ笑顔、
「レミと付き合ってるの?」と言われて戸惑う表情、
レミのことが嫌いではないのに、自分に近づいてくることにイラついている顔、
彼の取る行動ひとつひとつが自分にも身に覚えがあるからこそ、
彼の表情を追ってしまう。
このコントロールできない気持ち。
別にセクシャリティの話ではなくて、思春期を経験した人なら誰もが共感できるこの不器用さ。
巧みな光で演出され、すごく表情が豊かな主演の男の子演技はとても見もの。

そんな彼にあまりにも残酷な運命が訪れる。
そこまでの責任を彼に押し付けなくても良いのではないかと思うほどの残酷さ。
でも、相手もまだ自分の気持ちをコントロールできる年ではないからこそ起きうること。
でも、その残酷な運命が来ても、主人公はなかなか涙を流さない。
人間は逃避することだけは得意だ。
でも、そうしないと心が壊れてしまいそう。
アイスホッケーのユニフォームで壁を作りながら、
自傷行為のように壁や対戦相手にぶつかってく様から、ひしひしと感じるその脆さ。
無表情の中から感じ取れるその気持ちこそが映画の本質だと思う。

ラストシーンも無表情で終わる。
でも、この無表情は今まで感じていたものと違った印象だ。
本当にこの役を全うしたエデンくんには脱帽だ。