この監督の国ベルギーの社会での現実を、異常なほどの冷静さで切り取っていく
こんな風になってしまった世界の仕組みを嘆いても何も変わらないことはわかっている
難民が永久に存在するということもわかっている
命落とさずに他国までやって来ても辛い時間が果てしなく続く
私はこの事実を知ったまま何も出来ずに、一生を終わっていくのかということも…わかっている
でも、自分の今の生活を満たしているものが誰かのささやかな願いを踏んで得ているかもしれないってことはダルデンズ兄弟先生の映画を観てきて脳に刻まれている
この映画でも、知っているよね知っていたよねと、ダルデンズ兄弟先生はまた執拗に人々に問うのである。この姉弟の痛みを私達で分け合えないだろうかと
そして、何よりもこの血のつながっていない姉弟を結ぶあの愛情の深さがこの世界で一番尊いものだと深く思い知るのである