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子どもたちはもう遊ばないのsnatchのレビュー・感想・評価

子どもたちはもう遊ばない(2024年製作の映画)
5.0
こういう話しを求めていたのだと思う
ここに出てくるパレスチナとイスラエルの人々はほんの僅かで、今の状況に注ぐたった一滴かもしれないけれど、やはりいるのである。こんな人たちも。いや、声に出せないだけでもっといるのだと思う
モフセン・マフマルバフ監督はあの2023年10月のハマスの襲撃の前後、この両国の紛争の解決の糸口はないのかと現地に入りスマホで撮影し人々に問い続けていたのである
以下、内容に触れています





若いパレスチナ人の集まりを取材する
イスラエル人に恋した事はあるか?と訊ねる講師
共通の趣味がスケボーで知り合ったイスラエル人はいた。でも、イスラエル兵に尋問され殴られた時から憎しみが生まれた
バスの中の設定でターバンで顔を覆ったパレスチナ人を演じさせ隣に座ったユダヤ人役の気持ちになってみる。彼女たちは言う、恐い。
若い人は分かっている
受けてきた教育の仕方により、子供時代から教えられた憎しみが細胞のように棲みついてしまうのだと話す。

エルサレムの中心地で暮らす三十代のイスラエル人は言う。この多種の宗教が混じった地だからこそ相手の目を見て対話をするのが好きだった。周りの人や報道でパレスチナ人は恐いと言われても
でも今は、宗教が大切にするべき希望とか同意という言葉が死んでしまった。誰も目を合わせようとしなくなってしまった
でも、この方が紹介する詩に打たれ噛みしめた

2人の子供を持ちミュージアムで働くイスラエル人の母親アディは言う。10月7日の襲撃に心を打ち砕かれた。でも、新しいプログラムを始めた、アラブ人とユダヤ人が出会うプログラム。恐怖以外の感情を持ってもらう。そうしなければ子供達の未来がなくなってしまう。

エルサレム旧市街の路地裏で店主をしている老人は言う。18歳で投獄され17年間イスラエルの刑務所にいた。こんな争いの下では子供時代がなくなる。投獄された少年はそこで文字を学び外国語を理解し政治意識 思想意識を高めていく。イスラエル人に言おう“パレスチナ人をどんどん投獄すればいい。解放される時は偉大な指導者になっている”と。


監督が見つけた珍しい多宗教の子供たちが一緒に学ぶ2000人が通う学校。卒業した若者は兵役を拒否する人も多い。友達に銃を向けたくない。爆弾を使いたくないと。

この地にも1人1人いろんな人がいる
皆さんにも1人1人観て欲しくなる作品でした
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