映画館という暗闇の中で、じっくりと不気味な世界に没入するに相応しい映画。
確かに人を選ぶような題材を採っているので、万人向けでは決してない。とはいえ、絶妙なバランスの上に本映画は成立してちる。一歩間違えれば、ただの変態映画。一歩間違えれば、ただの奇をてらった映画。
だが、この映画はバランスが上手く整っているため、観るものを、ただ引き付ける。
中には、わかるとか、わからないとかそんな二元論で割り切る人もいるかもしれない。が、本映画はそんな単純なものではない。「わかる」ということを嫌っている映画なために、わかるわけがない。この「わかる」というのは内容云々のことではなく、本映画における価値や思考のことを指す。この観るものの固定概念を揺さぶる映画こそ、面白い映画の要素の1つだと個人的に考える。
心地よく揺さぶられてほしい。観たいもの、観たくないものを満足に観ることができる。
