リオン66さんの映画レビュー・感想・評価

リオン66

リオン66

ダリオ・アルジェントのドラキュラ(2012年製作の映画)

2.3

 小さな予算で大きな企画という言葉があるが、これは当に小さな予算で大きな映画をやろうとして見事に失敗した映画だろう。

 ドラキュラ映画は金がかかると勉強になった。そんな中でも殺しのテンポは流石ダリオ
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食人族(1981年製作の映画)

3.6

 人間が人間たる所以とは何か。

 この映画に映っているものはどれもこれもあまりにも悪趣味で常軌を逸している。観る人は選ぶだろう。

 だが、令和の現在と変わらない。ただ、我々は人を直接喰っていないだ
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そろばんずく(1986年製作の映画)

2.6

 抜けきらない困惑。

 最初から最後まで、困惑する。この困惑が心地よくない。ずっと、滑っている感じ。

 ただ、とんねるずを踏み台にして、森田芳光がやりたい放題にやっている感じがする。だが、一番やり
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未来の想い出 Last Christmas(1992年製作の映画)

3.0

 楽しいループもの。

 ただ、あまりにも毒がなさ過ぎて余韻がない。とはいえ、昭和の心地よい時間が音楽と相まって流れていて心地よい。なんてことない映画だが、今のようなせせこましい令和では作れないのだろ
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シンプル・フェイバー(2018年製作の映画)

2.5

 お気楽なミステリー映画。

 リラックスしてみれば満足だろう。ただ、思う存分にミステリーを満喫したい人にはおすすめしない。

フォロウィング(1998年製作の映画)

3.6

 お洒落なサスペンス映画。

 ノーラン監督のお手柔らかな時系列シャッフルを体感できる本作。内容に関しても、そこまで入り組んだものではなく楽しんでみることができる。

 ただ、話があまりにもこじんまり
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セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ(2000年製作の映画)

3.8

 映画馬鹿たちの映画。

 園子温の地獄でなぜ悪いという映画があったが、この映画はより濃度の高い狂った連中が暴れまくる感動スペクタルな内容になっている。

 何か崇高なメッセージなど一切なく、全編映画
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.2

 バイアスを笑い飛ばす。

 現代版ウディ・アレン映画のようなストーリー。主人公を含めたありとあらゆるインテリや市井の人々をこき下ろすので、人を選ぶ作品だろう。

 最も印象的なのは黒人による差別だ。
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.5

 文句無しの傑作。

 繊細な映像美。セリフに頼らない映像。余韻のあるストーリー。どれもこれも、見事だ。

 多くの人にみてもらいたい映画だ。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.7

 映画好きのための映画。

 これを単体でみるのと、ビクトル・エリセの一連の作品を観た上でみるのとは大きく違う。さらに、ビクトル・エリセへの想い入れでも大きく異なるだろう。

 そんな一見さんお断りな
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僕達急行 A列車で行こう(2011年製作の映画)

3.4

 余裕のある世界で余裕のある色んな人たちがほのぼのと過ごすドラマ。

 女子の気持ちは女子にしかわからない。このセリフにこの映画の思いが集約されている。世界には色んな人がいて、いろんな思いをもっている
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間宮兄弟(2006年製作の映画)

3.4

 ほのぼのした気分になれる映画。

 それだけでもそれ以上でもない。兄弟が和気藹々としている、たまらない。

 

メイン・テーマ(1984年製作の映画)

3.5

 アイドル映画の一つの解法。

 アイドル映画は表現することが限られる。それはアイドルをどうすれば可愛く、そして魅力的に取れるかが中心になるからだ。

 本作はそんなアイドル要素を十二分に活かしながら
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ときめきに死す(1984年製作の映画)

3.9

 冷たく狂った映画。

 舞台は夏にも関わらず、海が全く気持ちよさそうではなく、冷たいものが覆い尽くす。これが全編に渡る。

 他にも、ブラウン管のパソコン、セリフはぼそぼそ、音楽はどことなく冷たい。
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.8

 誰かが、どんな美人も拡大すれば毛穴だらけといったが、本作はそんな毛穴を見せつけられるような映画。

 最も個人的なことは最もクリエイティブなこと。とスコセッシがいっている。

 本映画は、当に個人的
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ブレインデッド(1992年製作の映画)

3.9

 狂った人に狂ったゾンビしか出てこない映画。

 力技で最後まで乗り切る映画は、当にジェットコースターのよう。演出は異様なものが終始続くが、見終わるとなぜか爽快な気持ちになれる一本。

 一方向に振り
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人間の時間(2018年製作の映画)

2.0

 色んな意味で人を食った映画。

 もう少し、人間とはハングリーな生き物ではないでしょうか。あまりにも登場人物たちがステレオタイプな人ばかりで閉口しました。そのために、展開が終始、浅瀬仇波で辛かった。
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バービー(2023年製作の映画)

3.5

 教科書に載りそうな映画。

 映画が好きなのでどんなジャンルでも大抵は楽しんでみることができる。本作も多分に漏れず楽しんだ。

 ただ、あまりにも現代的なテーマが先行しすぎていて、ちょっとゲンナリし
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チャイルド・プレイ(1988年製作の映画)

3.0

 お茶の間で楽しむことができるホラー映画。

 グロくない。動物も死なない。エロさもない。下品なセリフは多少ありますが。そして、適度に怖い。ここまで家族揃って見ることができるホラー映画はないのでは。

悪魔の沼(1976年製作の映画)

3.0

 これぞ、ワニワニパニック。

 設定も内容も舞台も音楽も照明も何もかも狂ってる。でも、楽しくて、それなりに見所もある、そんな映画。

 ただ、思ったよりワニの出番は少ない。

 

Pearl パール(2022年製作の映画)

3.7

 前日譚ものは難しい。

 やはり、ゴールやその後を知っていると、余白がない。余白が少ないと映画としても面白みが少ない。続編にも同じことが言える。

 ただ、前日譚ものとしては健闘しており、最後まで楽
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X エックス(2022年製作の映画)

3.5

 悪魔のいけにえの本歌取り。

 模倣していながらもオリジナル要素もあり、楽しむ事ができた。

 ただ、もっと川端康成の眠れる美女のような老人の奥行きがあれば、最高だった。

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.9

 誰よりも民衆を愛した君は
 誰よりも民衆を軽蔑した君だ。

 芥川龍之介がレーニンついて書いた詩の一節だ。この映画を言い表していると思う。

 この映画に出てくる人物たちは滑稽を極めている。けれども
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苦い涙(2022年製作の映画)

3.4

 焼きもちは遠火に焼けよ 焼く人の胸も焦がさず味わいもよし

 そうそう焼きもちを調整することはできない。映画の内での挿入歌の歌詞にも、人は愛するものを殺す。とあるように難しい。

 この映画はそんな
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プレイタイム(1967年製作の映画)

4.3

 見事な映像美。

 内容やセリフはほどんどないのに、一つ一つのシーンが精緻でお洒落でウィットにとんでいる。そして、圧巻なのはセットだろう。観ていて、おっとりとする。

 一番印象的なのはボタンのシー
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幸福の黄色いハンカチ(1977年製作の映画)

3.0

 いい人しか出てこない映画。

 それぞれの人情味は味わい深く温かい。高倉健の存在に至っては立ち居振る舞いだけで、人間の深みを表現しており、感服した。だが、今の時代を見渡したときにこのいい人しか出てこ
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.6

 ウディ・アレンによる君たちはどう生きるか。

 本映画の日本では2024年に公開されることになったが、初上映は2020年9月。4年のブランクがあっての公開ということになる。2020年とは日本にとって
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

 文句無しの傑作。急いで映画館で見てください。

 全てがいい。テーマ、役者、服装、カット、音楽、脚本、上映時間。どれもいい。
 
 この堅苦しい現代にこのようなものを作り上げられるとは見事としか言い
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浮き雲(1996年製作の映画)

4.0

 愛おしい映画。

 内容は陰惨だ。淡々とどこにでもいるような夫婦に不幸が静かに舞い降りてくる。それを質素に食事をし、しみじみと煙草を吸いながら生き延びていくだけの映画だ。

 ハッキリといって何も無
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過去のない男(2002年製作の映画)

3.9

 淡麗な映画。

 別に大きなことも、だからといって小さいわけでもない。絶妙な雰囲気が最初から最後まで漂っている。これが心地よい。

 そして、アキ・カウリスマキの映画は食事のシーンがいい。決して、美
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メリちん(2006年製作の映画)

2.5

 友達ガチャの恐怖。

 親ガチャなんて言葉が、あるが友達ガチャもあってもいい。幼少期の友達とは生まれた地域で決まってくる。たしかに、今現在はネットによって出会いが広がったかもしれないが限界はある。そ
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机のなかみ(2006年製作の映画)

2.6

 気持ち悪い青春。

 星新一が青春とはもともと暗く不器用なもので、明るくかっこよくスイスイしたものは、商業主義が作り上げた虚像にすぎないと述べている。当にこの映画は、商業主義とは異なる青春描いている
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吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」(2017年製作の映画)

1.3

 吉田類好きのためだけの吉田類ファンムービー。

 のわりには、吉田類の出番が少なく残念。もっと、ヒッチコックのように出番ではない話でも出演してもよかったのでは。また、幼少期で水を濁さずに、もっと吉田
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コララインとボタンの魔女(2009年製作の映画)

3.5

 誰もが見れるダークファンタジー。

 適度に明るく、適度に暗い。そんなバランスの良いファンタジー映画。不思議な住民たちのクセがとても強いのが印象的。

女優霊(1995年製作の映画)

2.8

 不気味な映画。ただ、後半に説明が多寡になりすぎて、失速する惜しい一本。

 全編に薄気味悪さが漂っていて、とてもいい。けれど、観客に怖さを説明する部分が後半から増えてしまい、薄気味悪さが半減していく
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街のあかり(2006年製作の映画)

3.9

 スルメのような恋愛映画。

 アキ・カウリスマキ監督の映画はいい意味で乾いてる。この乾きが癖になる。もちろん、恋愛も乾いてる。これがいい。

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